今のブログでは、請求書OCRや単価表、マイGPTの話を個別に書いてきました。今回はその前段として、そもそも僕が工務店実務で「最初にどこを自動化したかったのか」を整理して残します。
全体の流れを先に見たい人は、工務店の業務管理サイトを育てて、案件・入出金・粗利まで見えるようにした話 からどうぞ。
最初に困っていたのは、派手なことではありませんでした。
- 同じ材料でも、前回いくらで仕入れたかがすぐ出てこない
- 請求書を見ながらExcelへ転記する作業が止まりやすい
- 見積の途中で「この単価、合ってる?」と確認が何度も発生する
- ファイルは残っていても、後から使える形で履歴になっていない
つまり、問題は「情報がない」ことではなく、必要な瞬間に使える形で残っていない ことでした。
最初の困りごと
一番分かりやすかったのは、見積中の単価確認です。
例えば、ある材料の見積を作っているときに「このボード、前回いくらで入ったっけ?」となる。すると、請求書のPDFを探して、共有フォルダのExcelを開いて、過去の見積も見返して……と、答えにたどり着くまでに数回の探し物が発生します。
この時間が長いのはもちろんですが、それ以上に厄介なのは、確認する人によって参照先が変わることでした。ある人は請求書を見るし、ある人は古いExcelを見る。これだと、同じ会社の中で単価の基準が揺れやすくなります。
当時なぜそれが面倒だったか
手入力そのものよりきつかったのは、入力の前後にある判断の多さでした。
- この明細は既存品目にまとめるのか
- 単位は枚か式か
- 値引き後の数字を残すのか、元単価を残すのか
- 仕入先違いは更新か追加か
この判断が毎回ゼロから発生すると、入力担当しか触れない運用になります。すると、入力が後回しになり、後回しになるほど履歴の価値が落ちる。この繰り返しでした。
最初に作った小さい仕組み
いきなり大きなシステムを作ったわけではなく、最初は「探す回数を減らす」ことから始めました。
- 請求書から見たい項目だけを拾う
- 単価をあとで検索できる形で残す
- Excelは見る場所として残しつつ、元データは崩れにくい形で持つ
この発想が後で、請求書を投げる -> AIが候補を出す -> 人が確認する -> 単価表に残る という流れにつながっていきます。
最初から「全部自動化しよう」とすると止まるので、まずは人がやっている探し物を一段減らす。その程度の改善でも、実務ではかなり効きました。
何がうまくいって、何がダメだったか
うまくいったのは、目的を「入力削減」ではなく「確認を速くする」に置き換えたことです。これで、必要な仕組みの粒度が見えやすくなりました。
逆にダメだったのは、最初から完璧な分類や完全自動登録を目指したことです。実務では請求書の書き方もバラバラで、表記ゆれも多いので、そこを一気に片付けようとすると精度より先に運用が止まります。
今の運用ではどう落ち着いているか
今は、「AIに全部任せる」のではなく、人が迷いやすい手前までをAIに寄せる 形に落ち着いています。
- OCRで明細を読む
- 品目やカテゴリの候補を出す
- 登録形式まで整える
- 最後に人が商品名、単位、金額だけ確認する
正直に言うと、入力作業そのものは今もあります。むしろ、データをきちんと残す運用にしたぶん、やることが増えたと感じる場面もありました。
ただ、その代わりに大きく変わったのは、状況把握と判断の速さです。
- 今どこまで進んでいるか
- 現状の単価がどうなっているか
- この先の見込みをどう見るか
こうしたことが前より早く見えるようになったので、見積中の判断だけでなく、外部との話もしやすくなりました。例えば信金さんと話すときも、必要な数字や根拠データをすぐ出せるので、説明の組み立てがかなり楽になりました。
同じ悩みの人が真似するなら、どこから始めるか
最初にやるなら、「全部を自動化する」ではなく「一番よく聞き直している情報を残す」ことから始めるのが安全です。
工務店実務なら、たいていは次のどれかです。
- 請求書の単価
- よく使う材料の呼び方
- 見積時に毎回迷う単位や分類
このシリーズでは、その後どうやって請求書OCR、単価表、マイGPTの運用に広げていったかも順番に整理していきます。